カメと親亀の物語


むかしむかし、小さな池のほとりに、親亀と子亀が暮らしていました。

親亀は子亀を大切に思うあまり、子亀がどこへ行くにも、何をするにも手を貸してあげました。池を泳ぐときも、木の実を取りに行くときも、親亀は「危ないから、私がやってあげるよ」と言って子亀を守りました。

子亀は最初、それを嬉しく感じていましたが、ある日、友達のカメたちが自分で泳いだり、高いところに登ったりしている姿を見て、こう思いました。
「僕ももっといろんなことを自分でやってみたい!」


子亀が挑戦を始める

そこで子亀は親亀にこう言いました。
「お母さん、これからは僕も自分で泳いだり、木の実を取ったりしてみたいんだ。」

親亀は少し心配そうな顔をしましたが、子亀の気持ちを大切にしたいと思い、「じゃあ、一緒に見守りながらやってみようか」と答えました。

最初は泳ぐのもゆっくりで、木の実を取るのも手間取った子亀でしたが、少しずつ上手になっていきました。毎日少しずつ挑戦することで、子亀はどんどん自信をつけていきました。


失敗しても、学び続ける

ある日、子亀は高い岩に登ろうとして失敗してしまいました。
「あぁ、やっぱり無理だよ…」と落ち込む子亀に、親亀はこう言いました。
「失敗は悪いことじゃないよ。むしろ、次はどうすればできるかを考えるチャンスなんだ。」

子亀は次の日、岩に登るために何度も工夫して挑戦し、ついに頂上に登ることができました。そのとき、親亀は笑顔で拍手しながらこう言いました。
「やったね!お母さんも誇りに思うよ。」


カメたちが教えてくれたこと

それからというもの、子亀は少しずつ自分でできることを増やし、自信を持つようになりました。そして、こう思うようになったのです。
「お母さんが守ってくれたから、今の僕がいる。これからは、自分の力で成長していこう。そしてその姿をお母さんにも見せて、安心してもらおう!」

親亀も、子亀が成長していく姿を見て、とても嬉しく感じました。子亀がどんどん挑戦し、学び、成長する姿に、親亀は自分自身も励まされるような気がしたのです。


この寓話が伝えること

親が過保護だったとしても、それは愛情の現れです。そして、子どもはその愛情を土台に、自分の力で少しずつ成長していくことができます。失敗を恐れず、小さな改善を積み重ねることで、自信と誇りを持つ自分を作り出すことができます。