2匹のウサギと成長の丘

ある森に、タロウとハナという2匹のウサギが住んでいました。彼らは「成長の丘」という高くて険しい丘に登るために、毎日少しずつ練習をしていました。この丘は、頂上にたどり着くと美しい景色が見られることで有名でした。

1.タロウの焦り

ある日、タロウが一生懸命ジャンプの練習をしていると、ハナが自分よりも高くジャンプしているのに気づきました。
「すごいな、ハナはもうあんなに高く飛べるのか……」
タロウは最初、ハナを見て焦り、「なんで自分はもっと早く上達できないんだろう」と悩み始めました。

でも、ふと立ち止まって考えました。
「そうだ、自分は自分のペースで進めばいいんだ。ハナが高く飛べるのは、たくさん練習した結果なんだ。すごいな！」
タロウはハナに声をかけました。
「ハナ、そのジャンプ、すごくかっこいいよ！どうやってそんなに高く飛べるようになったの？」
ハナは嬉しそうに笑い、「ありがとう！毎日少しずつジャンプのフォームを工夫しているんだよ」と答えました。

2.ハナの助言

ハナはさらにタロウに言いました。
「タロウも、自分のやり方で少しずつ練習すればいいんだよ。焦らなくても、きっと自分のペースで丘に登れるよ。」

タロウはその言葉を聞いて安心し、自分にできることに集中することにしました。
「よし、今日はフォームを確認しながらジャンプを練習してみよう！」
その日から、タロウはハナを見て焦るのではなく、素直にハナをたたえつつ、自分のペースで練習を続けました。

3.2匹のウサギが頂上へ

月日が流れ、ある日2匹のウサギはついに成長の丘の頂上にたどり着きました。
タロウはハナに言いました。
「ハナのおかげで、自分のペースで頑張る大切さを学んだよ。ありがとう！」
ハナも答えました。
「タロウが褒めてくれたから、もっと頑張ろうと思えたんだ。一緒に登れて本当に良かった！」

頂上で見る景色は、それぞれの努力があったからこそ、さらに美しく感じられました。

寓話から学ぶ「礼」と「克己」

• 礼: 他人の良いところを見つけて、それを伝えると、お互いの気持ちが温かくなり、励みになります。
  • タロウがハナを褒めたことで、ハナもさらに頑張る意欲を持てました。
    
• 克己: 他人と比べるのではなく、自分のペースで努力を続けることが、自分らしい成長につながります。
  • タロウが焦りを手放し、自分に集中したことで、頂上まで登る力をつけることができました。